家族信託で課税される贈与税
家族信託で課税される贈与税についてご説明いたします。
家族信託は、委託者、受託者、受益者の3者で構成されます。
- 委託者とは、財産を託す人のことをいいます。
- 受託者とは、財産を管理する人のことをいいます。
- 受益者とは、信託財産からの利益を受ける人のことをいいます。
信託を行うと、委託者の信託財産の所有権は、受託者に移ります。しかし、実際に利益を受けるのは受益者となります。そのため、信託財産を委託者から受益者に移したとみなされ、税金は受益者に対して課せられます。
信託には、自益信託と他益信託という種類があります。
- 自益信託とは、委託者と受益者が同一の信託のことをいいます。
- 他益信託とは、委託者と受益者が異なる信託のことをいいます。
贈与税の場合、自益信託では、委託者自身が利益を受けるため、税務上は信託財産が移っていないと考えられますので、贈与税は課せられません。しかし、他益信託では、委託者から受益者へ信託財産が移っていると考えられます。それにより、受益者が受益権を得て、委託者へ適正な対価の支払いがない場合は、贈与税の課税対象になります。
信託財産が不動産の場合
信託財産が不動産の場合は、所有権を委託者から受託者へ移すために登記が必要となります。必要な登記は、所有権移転登記と、所有権の信託の登記になります。受託者は信託財産を他の財産と分別して管理する義務がありますので、不動産の分別の管理方法として、登記をします。
<所有権移転登記を行う場合>
家族信託での所有権移転は、売買や贈与によって不動産を取得するのとは違い、実質的な所有権移転ではないとみなされるため、不動産所得税は課税されません。
<所有権の信託の登記を行う場合>
下記の登録免許税が課せられます。
対象の不動産の固定資産税評価額×0.4
(税率権限措置(租税特別措置法第72条):平成32年3月31日までは固定資産評価額×0.3)
また、実質的に不動産を譲渡した場合と違い、家族信託の形式的な譲渡では委託者は対価を得ていないため、譲渡所得税は課税対象にはなりません。
受益権を譲渡した場合
受益者は受益権を贈与することができます。受益者が受益権を贈与した際にかかる税金についてご説明いたします。
<譲渡所得税が課せられる場合>
元の受益者が、適正な対価を受け取って受益権を渡した場合は、元の受益者に譲渡所得税が課せられます。
<贈与税が課せられる場合>
受益者が対価を受け取ることなく第三者へ受益権を渡した場合は、受益権を受け取った側の受益者に対して贈与税が課せられます。
家族信託の活用と税金について
家族信託(民事信託)について、こちらもご覧ください
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